第48回 オープンカレッジ

2016年01月03日 21:22

 

今後の日台関係について:中川忠昭 

2014年、台湾であった県・市議会議員選挙で得票率の変化があった。台中貿易協定に反発する学生運動があり国民党が衰退し、民進党の党勢が拡大した。国民党は一つの中国の原則を守り、中国共産党と国民党が内戦状態であると認識しているが、民進党は一つの中国を認めず台湾を主権独立国家であると主張している。中国は抗日運動を行ったのは共産党という歴史の歪曲をして、国民党の反発を受けて来たが、最近中国を訪問した台湾の国民党幹部に国民党と共産党が共に民族統一戦線をなして抗日運動をしたと国民党を取り込もうとしている。しかし台湾人の意識は約60%が台湾人と考えており、中国人という意識は少なくなっている。日台関係において終戦後1952年に中華民国政府と平和条約を結び国交正常化を果たしたが、1972年日本は中華人民共和国との国交正常化に伴い、国交断絶となった。日台関係は非公式になったが、実務関係を維持して緊密な経済関係、人的交流を行っている。馬英九総統は日本との関係を特別パートナーシップと位置づけ、日本では台湾が第4位の貿易相手国になっていて、交流人口は500万人を超えている。東日本大震災時の破格の義援金や救援隊派遣、支援物資提供があった。中国は現在も台湾武力侵攻を捨てておらず、米国が介入するときの日本の態度が極めて重要になる。冷戦終焉後の経済のグローバル化、共産国の存在、テロの台頭、米国の弱腰で世界地図が変わりつつある中、台湾も経済優先、中国人旅行者の増大、歴史認識の変化で中国寄りになっているが、次回、台湾の政権交代になされると一つの中国を明確に否定してくるであろう。台中関係が厳しくなると、日本の安保法制が台湾存続の鍵となる。日本は中国の脅威を受ける国々と連携し中国に対抗して、台湾の国連加盟申請をし続けることが大切である。日本人は日本が独立主権国家としての自覚を持ち、アジアのリーダーとしての自覚を持ち、日米同盟を基軸に韓国・台湾と連携し、中国の覇権主義を阻止しなければならない。