第54回オープンカレッジ 世界の食糧・漁業・水は大丈夫なのか
海と人間
海の恵み -食糧、漁業と水- 第1/2回
富山オープンカレッジ学長 山 崎 祐 介
講演内容の主な部分のみを報告します。
最初に5分ほど世界気象機関とNHKによる50年後の天気予報のビデオをお見せしました。最近、米国のトランプ大統領は、地球温暖化対策より産業振興、雇用創出を優先させる方針を強調しました。このことは、温室効果ガス排出量が世界2位の米国が大きく政策転換し、温暖化対策を後退させることになります。
「人為起源による気候変化、地球温暖化説は正しいのか、それとも嘘か」ということをみなさんに考えてほしいと思いこのようにしました。私自身は、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の説を再度確認し、無論、この分野の専門家ではないので、細かくは理解できていない部分もありますが、正しいものだろうと思っています。このあたりは、また、いずれかの機会にお話ししたいと思っています。
世界の食糧生産量
最近のFAO(国連食糧農業機関)情報をまとめれば、「1年間に穀類25億トン、肉類3億トン、魚類1.5億トン」となります。これを単純に現在の世界人口の一人当たりで計算すれば、必要量の約2倍もあることになり十分足りているのです。この生産量に付随して次のことが言われています。
○毎年生産される穀物の23億トンのうち、10億トンは食用、7億5000万トンは家畜飼料、5億トンは工業用に加工されるか、種子として利用されるか、あるいは無駄にされている。
○畜産物1kgの生産に必要な飼料用穀物量は、食肉1kgを生産するために必要な飼料は、おおむね鶏肉で2.6kg、豚肉で6.5kg、牛肉で7.0kgと試算される。(経産省)
○世界の一人当たりの食料供給キロカロリーは1960年代初頭の約2200キロカロリー/日から、2009年には2800キロカロリー/日を超えるまでに増加している。一人当たりの食料供給が最大なのはヨーロッパで、3370キロカロリー/日・人である。
○アフリカ諸国では低体重が高い割合を示している。2005年から2011年の間、アフリカの16ケ国が20%以上の低体重率を示している。
FAOのみならず、種々の文献、参考資料を読み、その概要を引用させて頂きましたが、世界の食糧は世界人口に対して不足しているわけではありません。栄養不足・飢餓の原因は、自然災害、紛争、病気、そして貧困が大きな原因です。貧しい国の人々が十分な食糧を買いたくても買えないのです。食料が投機の対象になるという局面で、国際投機筋は、金儲けのために平気で買い占め、値をつり上げます。食糧価格が高騰すると、食
糧を輸入に頼っている国や貧しい人々が大きな打撃を受けることになってしまうのです。
全ての人が生まれながらにもつ「食料への権利」は平等であるべきです。必要な十分な量と質の食べ物に、いつでも、身体的にも経済的にもアクセスできるよう、各国が責任を果たすべきです。しかし、何らかの問題で実現できない場合は、国際社会や市民社会の協力が不可欠です。
以上